バンダイ ソフビ魂 宇宙鉄人キョーダイン。左が兄貴スカイゼル。右が弟グランゼル。

赤い点線ぐらいまでボリュームがあると良かったと思うんだが・・・。

◎宇宙鉄人キョーダイン(2005/7/23)

 スコミでは最近、貴乃花親方と花田勝(元横綱若乃花)の“若・貴遺産騒動”が盛んに報道された。若貴世代の相撲ファンということもあるが、兄弟の確執ということで、すごく関心を持った。ヒッキーの私にも弟が一人おり、家をめぐる兄弟の確執は他人事には思えなかった。

 今のところ、私は弟と若貴ほどいがみ合ってはいないが、別段仲が良いわけでもない。私がひきもりになったことで、ケンカになることもあった。弟が経済力をつけたことで、力関係が変わったようにも思う。これから両親が年金生活となり、老後の面倒とか、現実的な問題が起こってくる。その時になって、無職の私と妻子持ちの弟とどういうことになるかと思うと、暗澹(あんたん)たる思いである。

 いきなり鬱(うつ)に書き出しで申し訳ない。さて、特撮ヒーローで仲の良い兄弟ヒーローは数々いるが、ご紹介するのはロボット兄弟『宇宙鉄人キョーダイン』のスカイゼル(兄)とグランゼル(弟)。彼らのソフビが最近リリースされたので、このほどゲットした。『宇宙鉄人キョーダイン』は、1976〜1977年に放送された、石ノ森章太郎原作の特撮作品。

 

 

 バンダイのソフビ魂というシリーズからリリースされているのであるが、ここ10年くらいでオモチャのクオリティーは本当に上がった。画像を見ていただければ分かるが、私の幼少時の約30年前に売られていたソフビ人形からは考えられない出来である。プロポーションが、劇中のスーツを再現する方向に向かっているのがお分かりだろうと思う。

 オモチャ好きの同世代の友人は、このシリーズがあまり好きではないようだ。中途半端にポーズがついているのが、お気に召さないらしい。従来のヒーローソフビのように手を下ろしまっすぐ立っているポーズが良いようだ。私はそれもしかりだと思うが、ポーズ付きのソフビも悪くないと思っている。大人が買うシリーズなので、手に持って遊ぶのではなく飾っておくユーザーが多いと思うので、ポーズ付きも意味があると思う。

 その彼が今回キョーダイン・ソフビで指摘したのが、頭部の奥行き。前から見ると分からないが、横から見ると頭部の奥行きがやや足りないというのだ。確かに見てみると、劇中のスーツを再現しているとするならば、このマスクの厚みではスーツアクター(着ぐるみに入る役者さんのこと)の後頭部が入らないのだ。

 これはどういうことだろうか。キョーダインの劇中の写真が手元にないので、ネットで画像はないか調べてみた。すると当時駄菓子屋などで売られていたミニカードを集めたサイトに、キョーダインのカードを載せた画像があった。それらの画像とソフビを比べてみると・・・どうも上半身の厚みが違うみたいだ。劇中のスーツはもっと胸板が厚い感じなのに比べ、ソフビはやや胸板が薄く作られている。また劇中のマスクは、やや大きい。当時のヒーローのマスクは、技術的なこともあるのか全体的に大きめだった。今回のソフビは、プロポーションが良すぎて気づかなかったが、当時のスーツを再現するなら、本来はもっと頭でっかちでずんぐりしているのだ。

 ソフビ人形は、あんまり上体が大きいと重心が上に行きすぎ、自立しにくくなる。そこで原型師(フィギュアの元の粘土原型を制作する人)は胸部の厚みを減らしたのではないか。その厚みを減らした分、見た目のバランス上頭部の奥行きもそれに合わせる形で薄くなり、結果厚みの薄い頭部になったのではないかと想像する。

 

 

 ちょっとスマートにカッコ良く作ったことが、スーツを再現する点では思わぬ落とし穴となってしまったのかもしれない。

 ともあれ昔のソフビよりもクオリティーが高く、しかも一体1,000円という低価格で往年のヒーローが買えるのは、やはり喜ばしい状況である。今後も続けて欲しいシリーズだ。

 キョーダインのソフビを並べて、自分の兄弟について、こう思う。若貴のように断絶するほどいがみ合いたくはない。キョーダインのように鉄の連携とはいかないまでも、交流のあり続ける兄弟でありたい、と。

 余談だが、私の地元の夏祭りは7月の第四土曜日に開かれる。約30年前のその日に、キョーダインのオモチャを買ってもらった記憶がある。今回のソフビは7/23日に購入したのであるが、ちょうど地元の夏祭りと重なった。不思議な縁を感じるとともに、30年近く経っても嗜好が変わらないこと、成長のないことに気づき、我ながらあきれるばかりであった。