タイトル『ガス人間第一号』(2008)

 ワトソンボードに、水彩絵の具で彩色。

 東宝特撮映画『ガス人間第一号』を描きました。

 この映画は、1960(昭和35)年の作品ですが、当時の格差社会というようなものを描いている感じです。

 大学に行けず、パイロットになりたかった夢を諦めなければならなかった青年、水野(演:土屋嘉男)。図書館の司書として、若さをすり減らす日々に、ある博士から声をかけられる。

 宇宙パイロットも夢ではないという実験に、月2万円出すので協力をしてくれないかということだった。

 水野は、宇宙飛行士になる夢を見て、博士の人体実験に参加。

 実験は、思わぬ方向に行き、水野は身体がガス状になってしまう。怒りの水野は、博士を殺害。

 しかし水野は、精神統一の仕方で、人間になったり、ガス状になったりできることを発見。

 この異常な体質を使って、銀行強盗を働き金を強奪。落ちぶれた清貧の舞踊の家元・春日藤千代(演:八千草薫)のパトロンになり、彼女へ愛を、犯罪で得た金を提供することで示し、舞踊活動を支えていくのだった。

 学歴偏重の時代に、高卒で落ちこぼれた水野が、ガス人間となり、高嶺の花であった藤千代への愛を捧げ、犯罪を繰り返していく・・・。女への愛と、社会への復讐劇。

 高いドラマ性と社会性、悲恋物でもあるし、なるほど、本作が特撮映画の枠を越えて、名作の誉れ高いのが、分かります。

 勿論、円谷英二監督の特撮も、素晴らしい。CG出現の遙か前、人間がガスになる表現を、見事に描いております。演技する特撮と言いますか。

 ホント、名作ですね。

 私の絵は、ヘボ作ですけれども(苦笑)。ガス人間=水野の似顔が描けず、7回も描き直すハメに・・・。